新型コロナの流行が治らない現在、飲食業などの業界が大きな影響を受けている。
旅行業界もその例にもれず、旅行会社は前年比90%以上減のところも少なくないという。運輸業界も同様だ。
政府は不要不急の行いは自粛せよというが外食、旅行は不要不急なのか。
答えはNOだと思う。
外食や旅行は人生を豊かにしてくれるものであり決して不要などではない。
少なくとも僕はそう思う。
海外旅行はリッチなこと?
現役時代、海外を旅をして、帰国後に同僚や友人にその話をすると決まって「へえーリッチだねえ」と言われた。
確かに、海外へ行くには少額ではない費用がかかる。
実際僕も今まで旅で使った金額はわずかな額ではない。
ただ、決して僕はリッチなわけではなく、普段の生活を節制して旅行の費用を捻出していた。
時折、「へー、何処へ行ってきたの、どうだった?」と聞かれることがあるが、そんな時は心底ホッとする。
そんな相手は旅行や海外に興味を持っているか、僕が旅をする理由を知りたがっているかだ。
価値観が同じでないとこちらが意図していることと全く違った反応になる。
旅の話をしたいのに「リッチでいいね」の一言で片付けられてしまうと悲しい気持ちになる。
確かに、ネットで世界中を旅をしています的なブログを見ると(このブログも程度の差こそあれ、似た様なものだが・・・)一体、その費用はどうした、とか見方によっては「それって自慢?」などと思ってしまうことがある。
世の中の大多数は人の楽しかった話を聞きたたいとは思わないだろうから。
しばらくすると、旅の話を興味を持って聞いてくれそうな人がわかるようになってきたので、僕は話す相手を選ぶようになった。
同じ価値観を持っていそうな相手にだけ旅の話をした。
旅に興味のない人や、生活で手一杯な状態の人から羨む言葉が出ても仕方がないと思が、単に「リッチだねえ」とあしらわれるのも気持ちがいいものではない。
アニメから学んだ人が持つ価値観
以前、テレビで観たアニメ「宇宙兄弟」で兄のムッタが自分と同じ価値観を持つ仲間と出会った放送回を思い出した。
宇宙飛行士選抜試験で閉鎖空間に閉じ込められた環境でムッタが他の候補生達と話をしたシーンだ。
子供の頃、ある天文学者のいる天文台へ同級生を誘ったが興味を持ってもらえず孤独感を感じていたが、候補生達は違ったという内容だ。
天文学者の話をした途端、全員がその天文学者に憧れを抱いていて羨ましがられ、ムッタがここには同じ価値観を持った人間がいることに気づいたという話だった。
それ以来、僕は価値観の同じ人と会うと「天文台の人だね」とこっそり呼ぶことにしている。
このブログを見る人も「天文台の人」であってほしいと願っている。
学生時代に挫折した海外個人旅行
学生時代、僕は旅行に興味はなかった。
むしろ何処かに出かけるのは避けたいと思う方だった。
夏や冬の長期の休みに多くの同級生は旅をしていた。何度か誘われたこともあったが全て断っていた。
ただ、当時僕は植村直巳の冒険紀行が好きで本だけは夢中で読んでいた。
冒険記は好きだが旅行は好まなかった。
そんな折、1953年頃、日本航空のマイプランI’ll(多分この商品名だったと思う)が発売された。
完全なパッケージツアーではなく自分でプランを組み立てられる当時としては斬新な内容だった。
冒険に近い旅ができると思い、アメリカ大陸をグレイハンドバスで横断しようと申し込みをした。
結局、ある事情で、僕のこの計画は実行されることはなかったが、その時の後悔の気持ちは就職して、社会人にななってからもずっと続いていた。
会社に入って数年後、ある本との出会いが、僕の「旅に出たい」という気持ちに火をつけた。
本に影響されて行動に移すことは良くあることだと思う。
海外個人旅行者のバイブルと言われている沢木耕太郎氏の「深夜特急」などはその典型だと思う。
ただ、僕が影響を受けたのは「シャーロック・ホームズへの旅」。
シャーロック・ホームズフリークの小林司、東山あかね夫妻が、ホームズゆかりの地を訪ねて英国とスイスを列車で旅をした記録だ。
その本を読んでから数ヶ月後、僕は妻と二人、英国を列車で旅をした。
全て自分で計画した海外個人旅行だ(🔗初めて個人旅行で行った英国列車旅 1988年)。
この旅がきっかけになってその後数十年に渡り海外を個人で旅をするようになった。
シャーロック・ホームズへの旅
小林司、東山あかね 共著
この本を参考に英国列車の旅を計画した。
僕が旅をする理由
人が、旅行をする理由には多くの理由があるという。
人は先天的に移動するものでありDNAの中に「移動=旅」が書き込まれている、という説。
そして、ネットで「何故、旅をするのか」を検索すると出てくるのが
・非日常を経験するため
・本場のグルメを楽しむため
・世界をじかに知るため
・いろいろな価値観を知るため
・視野を広げるため・自分を見つめるため、など
と、いろいろあるが、僕が旅をするのは、旅をすると楽しいから、生きていることを実感できるから、これに尽きる。
これから
1988年の英国旅行以来コロナ禍で旅が困難になった2020年までに海外に個人で訪ねた回数は数十回。
同じ場所を尋ねる反芻旅行が多かったが、とにかく沢山旅をしてきた。
お金もたくさん使ったが、後悔はない(少しはあるかも・・)。
その経験は仕事にも生かせていたと思うし、もちろん普段の生活を送る上での指針になっていた様にも思う。
何より、そうした経験をしたおかげで子供ころの夢(🔗ニュージーランドひとり旅 グライダー を操縦する)を実現することができた。
そして現在、コロナが収束したら今度は日本国内を旅しようと思っている。
足元を見るのにちょうど良い時期かもしれない。