2017年の12月 クリスマスイブまであと2日、パリのオペラ座(オペラ・ガルニエ)ではクリスマス公演に向けた舞台の設置が始まっていた。
幸い、この日はオペラ座のホールに入ることができ今回の目的の一つ、シャガールの天井画をみることができた。
バレエ公演の練習があるときはここへ入ることができないので天井画を見ることができるか否かは運による。(事前に調べる方法があると思うが、僕は知らない)
今回の旅は「パリのオペラ座でシャガールの天井画を見てからドイツのマインツの教会でシャガールの青のステンドガラスをみる」をテーマに旅を計画した。
この記事では オペラ座のシャガールの天井画を紹介する。
また、別の記事ではドイツのマインツの青の教会訪問の記録を紹介しているので是非見て欲しい。
オペラ座・シャガールの天井画
シャガールの天井画「夢の花束」を見る旅は、以前僕が撮った写真を妻に見せたのがきっかけだった。
「自分だけ見ていないのは不公平だ」と妻が言ったのが今回の旅の企画理由。
「夢の花束」はシャガールが1964年9月23日にオペラ座の天井に取り付けた12分割のパネルからなる絵画。
シャガールが天井に直接絵を描いたと思っていたが、実際は後から取り付けられたパネルで、取り外すことも可能だという。
この絵が着脱可能なパネルになったのには理由がある。 この絵が完成したのがシャガール78歳のとき。
高齢のため直接天井に描くには体力に問題があったから?ではない(僕は最初、そう思った)。
実はこの天井画をシャガールが描くことが発表された際、市民から非難が殺到したそうだ。
この天井にはもともジュール・ウジューヌ・ルタによる歴史画が描かれていて、この絵を残すべきという意見が大多数だったという。
その反対を押し切ってシャガールに絵を描くことを勧めたのは当時フランス文化大臣のアンドレ・マルローだった。
彼はシャガールの30年来の友人でシャガールを高く評価していた。
シャガールも当初、申し入れを受けるべきかどうか悩んだというが7ヶ月の制作期間で12枚のパネルからなる240㎡の絵画「夢の花束」を完成させた。
このパネルはパリ郊外のアトリエで秘密裏に組み立てられ、軍の警備の元オペラ座まで運ばれたという逸話がある。
こんな経緯もあってかシャガールはこの天井画に関しては材料費のみを受け取り制作料は無償でフランス政府に引き渡したという逸話がある。
シャガールの精一杯の抵抗だったのだろう。
さてこの絵画、よく見るとパリを象徴するモニュメントが多数描かれている。
エッフェル塔、凱旋門を背景にしたコンコルド広場、赤く描かれたオペラ・ガルニエ。
そして有名音楽家 モーツアルト、ベートーベン、チャイコフスキーのオペラやバレー作品へのオマージュが描かれ、それらの作曲家の名前と彼らの作品名が描かれている。
さらに目を凝らして探して見ると、シャガール自身のサインを見つけることができる。
ここに来ることがあれば、ぜひ何処にある探して見て欲しい。
赤く描かれたオペラ・ガルニエの斜め下をよくみると シャガールのサインが見える。 Marc Chagall 1964 とある。
天井画だけじゃない、オペラ座は室内も豪華絢爛
オペラ座といえば、シャガールの天井画が有名なのは、いままで説明してきた通りだが、
この建物は、天井だけでなく室内も豪華絢爛。
眩しいばかりの創りになっている。
パリを訪れる機会があれば是非立ち寄ってみてほしい。
The Palais Garnierの基本情報
住所:Place de l’Opéra, 75009 Paris, フランス
URL : OPERA NATIONAL DE PARIS https://www.operadeparis.fr/en/visits/palais-garnier