ルーヴルに代表されるようにパリには一度は訪れるべき多くの美術館がある。
ただし、そのほとんどが人気の観光スポットになっていて季節によっては、ゆっくり作品を鑑賞するのには不向きな場合がある。
唯一、人の少ない季節は冬のオフシーズン。
ほとんどの美術館で作品を独り占めすることができる。この作品が日本に来たらきっと長蛇の列で立ち止まることさえできないだろうと思われる作品の周りには誰もいない。
教科書でしか見たことのない絵画や彫刻が目の前で誰にも邪魔されることなく鑑賞することができるのが冬の閑散期。
パリで美術館をめぐるならルーヴル、オルセー、ポンピドゥー・センターがお勧めだ。
❶ 1848年の2月革命より前の美術品:ルーヴル美術館
❷ 2月革命~1914年の第一次世界大戦開戦までの美術品:オルセー美術館
❸ それ以降の美術品:ポンピドゥー・センターの「国立近代美術館」
ルーヴル美術館(Musée du Louvre)
いうまでもなく年間の来場者数1,000万人を誇る世界最大級の美術館。
元々は要塞として建設され(ルーヴル宮殿)古代彫刻などの王室美術品コレクションの収蔵、展示場所として使われたのがルーツ。
美術館として正式に開館したのは1793年。
ガラスのピラミッドとダビンチコード
美術館へはナポレオン広場のピラミッドのエントランスから入る。
このガラスと金属でできたピラミッドのことをダビンチコードの作者ダンブラウンは仏警察のファーシュ警部の口を借りて「パリの顔の傷」と言わせている。
従来の地下のメインロービーで入場者の増加に対応できなくなったことから1989年に新たなメインエントランスとして建造されたものだ。
そして、ダビンチコードではピラミッドの下の隠し部屋にマグラダのマリアの遺骨が隠されているとも言っている。
ダビンチコードは2003年に小説が発表され世界的なベストセラーになり2006年に映画化された。
ルーヴル美術館にある作品が多数登場し、物語はこの美術館から始まる。
訪問の前に目を通しておくのも面白かと思う。
サモトラケのニケ
ドノン翼の入り口左の階段を上がった「ダリュの階段踊り場」に姿を表すのがサモトラケのニケの像。
階段を登り始めて踊り場に姿を表すこの像はサモトラケ島で発見された勝利の女神(ニケ)の像。
ルーブルの3大傑作と言われる展示の一つだ。
そして絶対に見逃せないのが、同じドノン翼エリアにあるレオナルドダビンチの最高傑作 通称「モナ・リザ」。
モナ・リザリーザ・ゲラルディーニの肖像(モナ・リザ)
観る位置を変えても目が追いかけて来る。これは実物を見ないとわからない体験。
ダビンチが天才であることを証明する作品だ。
2003年に初めて観た時は手が届んじゃないかと心配になるような展示だったが2度目に訪問した2006年には周りに仕切りが作られ以前ほど間近に観ることができなくなった。
来場者の増加でモラルが低下したのだろう。
”モラルが低下すると規制が強くなる”、のは世の常だが、寂しい限りだ。
この作品はサモトラケのニケとともに開館直後の早い時間に鑑賞することをお勧めする。
この美術館は内部が広いため各作品を鑑賞するには、それほど混雑することはないが、この作品に関しては閑散期であっても人だかりができる。
今では考えられないが2003年には誰もいない空間で独り占めすることができた。
古き良き時代だった。
鑑賞作品のリスト化を勧めます
これ以外にも、3大傑作の一つである
アフロディーテ(ミロのヴィーナス)や「目には目を、歯には歯を」で有名なハムラビ法典、
想像していたものよりもずっと大きい「ナポレオン1世の戴冠式と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠」ドラクロワの「民衆を率いる自由の女神」、ダビンチの「岩窟の聖母」など見逃せない作品が無数にある。
丸一日から数日かけたいところだが、時間が限られている時は日本に戻ってから「えっ!その作品ルーヴルにあったの?」というようなことの無いよう予め観たい作品と場所をリスト化してから訪問すると良いと思う。
ルーヴル美術館の基本情報
名 称:ルーヴル美術館
住 所:Rue de Rivoli, 75001 Paris, フランス
行き方 :地下鉄ルーヴル・リボリ駅から徒歩2分
一口メモ:「パリミュージアムパス」で優先入場が可能。
電話番号:+33 140 20 50 50
営業時間:9時00分~18時00分(火曜定休)
URL :https://www.louvre.fr
オルセー美術館
ルーブル博物館からセーヌ川を隔てた対岸に位置するのがオルセー美術館。
ここにはゴッホ、ゴーギャン、セザンヌ、ルノアール、モネ、マネ、ドガ、ドラクロア、ルソーなど美術界の超有名作家の作品が展示されている。
ルーブル美術館ほどは広くはないが、駆け足で見ても2時間から3時間。じっくり見るのであれば半日ほど必要だ。
時間が許すならば5階の印象派の作品を鑑賞後に同じ階の駅舎時代の大時計の裏にある「カフェ・カンパーナ」でゆっくりお茶を楽しむのも楽しい。
この大時計の透明な文字盤からは遠くモンマルトルの丘を望むことができる。ゆっくり過ごすにはここが一番のお勧だ。
『ファンゴッホの寝室』 ゴッホ
『オーヴェルの教会』 ゴッホ
『カード遊びをする人々』 セザンヌ
『日傘の女性』 モネ
『サン・ラザール駅』 モネ
ミレーの展示コーナー。誰もいない
最上階の時計台からモンマルトルの丘に建つサクレクール寺院を見ることができる。
オルセー美術館の基本情報
名 称:オルセー美術館
住 所:1 Rue de la Légion d’Honneur, 75007 Paris, フランス
行き方 :メトロ12番線「ソルフェリーノ駅(Solférino)」から徒歩で3分。
一口メモ:「パリミュージアムパス」で優先入場が可能。木曜日のみ夜間まで営業。
電話番号:+33 140 49 48 14
営業時間:9時30分~18時00分(木曜日のみ 9時30分~21時45分、月曜定休)
URL :https://billetterie.musee-orsay.fr/en-GB/home
ポンピドゥー・センター
パリ4区、マレ地区に近いボブール地区にポンピドゥー・センターはある。
1970年、当時の大統領ジョルジュ ポンピドゥーによって近代美術館と公共図書館の建設が始まり1977年に地元で「ソントル ボブール(Centre Beaubourg)」の愛称で呼ばれる施設がオープンした。
イギリスの建築家リチャード ロジャースとイタリアの建築家レンゾ ピアノによるこの斬新なデザインの建物は現在では建築そのものが芸術品と呼ばれているが建設当時は市民からの批判も多かったそうだ。
ルーヴルのピラミッドが「パリの顔の傷」と言われたのと同じように古いものを否定するようなものは批判の対象になるのだろう。
今ではパリの象徴と言われているエッフェル塔も建設当時は「役に立たない」「醜い」と批判されたらしい。
このセンターにある国立近代美術館のコレクション数は、10万点以上。ニューヨーク近代美術館(MoMA)に次ぐ世界第二位の規模出そうだ。
ピカソ、ブラック、マティス、シャガール、ウォーホール、ダリ、モンドリアンなど近現代美術の超有名画家の傑作がたくさん展示されている。
建物の外にはダリの巨大な顔が建物の壁面に描かれているが、正式な作品ではなく「落書き」らしい、完成度が高いのだが・・・。
ルーヴル美術館やオルセー美術館が昔の建物を利用しているのに対し、ポンピドゥー・センターは新しく建設した点で大きく異なる。
50年以上前のデザインだが現在でも通用する斬新なデザインだ。
センターに着いたらエスカレータで美術館の入り口がある5階まで登り、その先のテラスから遠くにエッフェル塔、右方向にはモンマルトルの丘とサクレクール寺院を観ることを忘れないでほしい。
尚、このテラスに入るには美術館とは別のチケットが必要なのでで注意してほしい。
ロベール・ドローネーの「エッフェル塔」
マティスの「窓辺のヴァイオリン弾き」
ポンピドゥー・センターの基本情報
名 称:ポンピドゥー・センター
住 所:Place Georges-Pompidou, 75004 Paris, フランス
行き方 :メトロ ランビュトー駅から徒歩2分
一口メモ:「パリミュージアムパス」で優先入場が可能。
電話番号:+33 140 49 48 14
営業時間:11時00分~21時00分(火曜定休)
URL :https://www.centrepompidou.fr/en/
その他のおすすめの美術館
以上の美術館をめぐることでフランスの古代から近代までの美術品に触れることができるがパリにはこれらの美術館以外にも印象主義運動の発端となった「印象日の出」を展示しているマルモッタン美術館(Musee Marmottan)、モネの「睡蓮の間」で有名なオランジュリー美術館(Musée de l’Orangerie)がある。
ぜひ時間が許す限りこれらの芸術に触れて見てほしい。
そして、観光の喧騒が止んだ冬に訪れることができるなら上質な非日常を体験できると思う。
マルモッタン・モネ美術館(Musee Marmottan)
住所:2 Rue Louis Boilly, 75016 Paris, フランス
URL:https://www.marmottan.fr
オランジュリー美術館(Musée de l’Orangerie)
住所:Jardin Tuileries, 75001 Paris, フランス
URL:https://www.musee-orangerie.fr/en