要塞都市ルッカのアンティークマーケット

 2024年12月13日、フィレンツエから電車で1時間半ほどの場所にあるルッカを訪問。目的は、第3日曜とその前日の土曜日に開催されるアンティークマーケットを観ること。このブログでは、ルッカの紹介とアンティーク市の様子を紹介します。

ルッカは城壁に囲まれた要塞都市

 ルッカは人口約9万人のトスカーナ州ルッカ県の県都。

 駅からルッカの街に入るには街を囲んだ城壁を越えなくてはなりません。

 城壁が完全に残っているのはヨーロッパでも数少ない例の一つです。

 この城壁は敵の攻撃から街を守るために作られたそうですが、幸いにも攻撃されることはありませんでした。
 それが現在まで城壁が昔のままの形で残っている理由です。

ホテルでもらったルッカの全体図。

赤のマーカで印をつけたのがアンティークマーケットが開かれる通り。ルッカでは一箇所でではなく、町中の通りがマーケットになります。

 

 城壁の上は、現在では遊歩道として使われていて、散歩やサイクリングする人のオアシスになっています。

 ルッカの街に入るためには、この城壁をくぐらなければならないのですが、多くの人は、ルッカの駅からサン・ピエトロ門まで行き、そこから街中へ入って行きます

 しかし、私たちは、駅からちょっと離れた小さな入り口を通ってみました。いつもYou Tube動画で見慣れた道です。

ルッカ駅を降りた多くの人たちは、サンピエトロ門から街の中に入って行きましたが、僕らは、この小さな小道を抜けた先の階段から城壁を通って街に入って行きました。

小道を抜けた先に現れたのが、城壁の中を通る階段の入り口。

 階段を登りきると、城壁の上に出ます。

 そこは、まるで遊歩道。散歩をする人や自転車に乗るサイクリストを見かけます。車で街の中に入るにはサンピエトロ門を通る必要がありますが、僕らはあえてこの小さな入り口を通ってきました。

 帰りも同じ道を通るつもりだったので、このライオンの像を目印にしました。

この城壁の道を少し進んだ先に、街中に続く下り坂があります。

 ルッカのアンテイークマーケット


イタリアでアンティークマーケットを訪ねるのなら、絶対にルッカと決めていました。

 なぜかって? 

 なんとなく、トスカーナの地方都市で昔の面影が残った過ごしやすい街に思えたからです。そしてルッカのアンティークマーケットは規模が大きいと調べてました。

 開催は毎月、第3週の日曜日とその前日の土曜日です。

 これに合わせて、12月の訪問を決めました。当初は、ルッカに金曜日に入り土曜日のマーケットに朝イチで参加する予定でした。
 金曜と土曜の2日間の滞在で城壁の上の散歩や街中の散策も計画していましたが、あいにくの電車のストで計画が変更になってしまいました。

 結局、ルッカには土曜日に一泊だけすることになりましたが、一度は諦めたルッカへ行くことができました。

 ルッカの駅まではフィレンツエSMN駅から約1時間半。電車のストライキの影響で、チケットは取り直しました。

ルッカまでの電車内。イタロや高速鉄道と違い、座席は全席自由。

ローカル電車は車内の騒音が普通でない。
人は話し声が大きいことなど全く気にしていない。イタリア人がおしゃべりなのは知っていたが、これほどまでとは。

ルッカの街

ルッカは、想像通り、落ち着いたよい雰囲気の街でした。

アンティークマーケットが目的だったのと、電車のストライキの影響で滞在期間が一日になってしまったために、街中の主要スポットを訪れることができませんでした。

アンフィテアトロ広場。

楕円形に形状をしたローマ時代の円形闘技場の面影を今に伝えるイタリアでも珍しい広場です。

広場には、カフェやレストランの屋外テーブルが並び、賑わうのですが、真冬のこの季節は人影もまばら。やはり12月は寂しい季節なのでしょう。

 アンフィテアトロ広場を抜けてしばらくすると見えてくるのがこの建物。

 これは、ルッカを代表する建造物の一つ、グイニージの塔。 

 内部には階段があり頂上まで登れるようですが、今回はアンティークマーケットが目的だから
観光は、ほどほどにとの妻の意見で、登頂はパス。

 44.25mの高さからルッカの街を見渡せなかったのが残念でした。

 ちなみに、頂上にはトキワガシが植えられていて、この塔のオーナーの少しでも高くしたいとの想いから植えられたそうです。

このしゃれた門構えの店はルッカで有名なAntica Bottega di Prospero という穀物店。

ここでは、小麦粉、豆類、穀物類、ハーブやスパイスを扱ってます。

1700年代の創業時から続く店構えも旅情を誘います。

 Prosperoで扱っている穀物はどれもトスカーナ料理に欠かせないもの。 

 日本に帰ったら早速スープを作ろうと美味しいと評判のミックスになった豆を1Kg購入。

 もちろん、これも量り売りで、好きなものを100g単位で買うことができます。

それから、ルッカというかイタリアでよく見かけるのが、水飲み場。

実はイタリアの水道水は飲めるそうです。

ヨーロッパに行くと、どの国もミネラルウオータを飲料水として買って飲んでいるイメージがありますが、イタリアでは、街のあちこちにウオータースポットというべき水飲み場があり、地元の人たちが容器に水を詰めています。

ある調査によるとイタリアでは約50%の人が水道水を飲んでいるようです。

ですが、日本の水に比べ、硬水なのでできればミネラルウオーターを購入した方がいいでしょう。

ホテルは門の横

 ルッカは想像していた通りの街でした。落ち着いていて建物が昔のままの趣を保ち、ずっとここにいたいと思わせます。
 予約していたホテルの部屋はなんと街の中心に入る門の横。最初はホテルの案内係りに連れられるまま門まできた時は不安な気持ちになりましたが、室内はロフトづくりで気分も最高潮に高まりました。

 一時は渡航を嫌がっていた妻も、「よかったね、あのホテル」と今は再訪を願っているようです。

街の中心部に続く入り口の門。城壁の中にさらに建物で囲った街があります。

なんと、この門の右側の円筒形の建物がホテルの部屋になっています。

部屋の内部には、ロフトがついていました。

右に見える窓はロフトの窓。ロフトからはこんな感じで外が見えます。

 

 肝心のアンティークマーケットですが、前泊が叶わなかったものの、土曜日の早い時間にルッカまで無事に到着。

 ホテルのレセプションに荷物を預けて、いざマーケットへ。

 ホテルの従業員に聞いたマーケットの場所に行ってみましたが、晩冬と土曜日のためか、規模が少し小さかったように思いました(初めてなのでわかりませんが

途中、店を覗いていると、自転車でやってきた地元民らしき人に声をかけられ、「自分はフランス人だがここがすごく気に入って居着いてしまった」ようなことを言っていました。何か目的があるわけでなく、ただ声を掛けただけのようでした。なんだったんだろう?
妻は、フランス料理のオーナーが客引きをしていたんじゃないかと後で話していましたが、そんなことはない。イタリアにはフランス料理の店はないんだけどなあ(本当かどうかはわかりませんが、そんな記事を読んだことがあります。それより、どうして妻は、そんな事考えたのか??です。ときどき変なことを言う癖があるので納得です。)

ビスくん
お前が、そんなこと言うな! どの口が言ってるんだ。

初アンティークマーケットin イタリア 

 アンティークマーケットには、新鮮な気持ちで臨んだのですが、考えてみたら30代から向こうずっとアンティークマーケットを目的に、欧州を旅していたことを思い出しました。

 30代の頃にイギリスのアンティークに夢中になり、40代ではフランスに足げく通いました。

 ポートベロー、コベントガーデンやエンゼルマーケット、(英国)、クリニャンクール、ヴァンヴウ(パリ)

そして今回、初めてイタリアの本格アンティークマーケットを体験しました。(正確にはベローナのマーケット以降2度目ですが妻は本格的なマーケットは今回が最初だと言い張っています。)

妻はどうも規模が小さかったのは晩冬が理由だと思っているようで、次は遅くても10月の日曜日がいいと鼻息が荒くなっています。

あれほど行くのを渋っていたのは誰だっけ?

 

 

物を減らすのではなく気に入ったモノだけを残す

 市場を散策すること4時間。お気に入りの品物を手に入れることができました。

 値段の交渉にイタリア語の数字を飛行機の中で学習していました。

 10ユーロ以上のものは買うつもりがなかったので1から10までの数字をマスター。

 1.uno(ウノ)、2. due(ドウエ)、3.tre(トレ)、4.quattro(クワトロ)、5.cinque (チンクエ)、6.sei (セイ)、7.sette(セッテ)、 8.otto(オット)、 9.nove(ノヴェ)、10.dieci(デイエチ)

 決してお買い得商品を見つけるのではなく、市場の雰囲気を味わいたかったのです。

 そして、値切りの交渉もマーケットに参加しているようで楽しいものです。   

 そうそう、「値切るときはなんと言えばいいんだろう、覚えてくるの忘れた」と思っていると、妻は開いた手のひらを下にして上下に振っています。

 結果、15ユーロが10ユーロに。

 あっ、そういうことか。

 コミニケーションは言葉だけじゃないんだ。向こうは売りたいし、こっちは買いたいのだから言葉じゃなくてもいいんだ。

手に入れたメイドインイタリア

 イタリアにきたのだからメイドインイタリアのものを買いたいと言って手に入れたのが、リチャードジノリの花瓶とシルバーのプレート2枚。

 この歳になったら、これからはむしろ断捨離をして身の回りを綺麗にする必要があるので、モノを増やすのは気が引けたのですが、妻は、身の回りの品を全てお気に入りのものに変えて、不要なものを捨てる

 これが本当の断捨離だと力説しています。

アンティークは残るべくして残ってきたモノ

 とにかくアンティークの品物には、特有の味わいがあるように思います。

 何十年も前に使っていたものが今まで、使う人を変えながら今まで残っている。これは昔どんな人が使っていたんだろうか と考えるだけでも楽しいものです。

 それを思うと、我が家にはまだまだ、いらない将来まで残す価値のあるものは少ないなと言う思いになりました。

 帰ったら、また家の品物を整理しよう。

 ものの価値を考える旅になりました。