リタイアしたら好きな時に好きな場所へ行けると思った途端のコロナ・パンデミック。
あれから約3年、コロナはいぜん消滅していないものの、WHOにより緊急事態の終了宣言が出され、海外への入り口が少しだけ開いてきました。
この記事では2023年4月に3年振りに訪ねたイタリア、ベローナへの旅を紹介します。
機内の乗客は多くもなく、少なくもなく
約3年振りの国際線への搭乗。
2020年の2月が最後の海外渡航(ドイツ・イタリア)でしたが、数年内にまた国際線に乗る(乗れる)とは想像していませんでした。
国際線の路線が再開したものの航空運賃は呆れるほどの高額。
「燃料サーチャージ代が運賃とほぼ同じって何なの?」と愚痴の一つも言いたくなる料金です。
ただ、「現在のコロナや世界情勢の影響では仕方がないか」、「乗れるだけいいか」と航空会社の最安値のスケジュールを選んでの搭乗でした。
機内は思いの外、空席が目立っていました。
予約した中央の左通路席は真中席(3列席)が空いていたため、快適に過ごすことができました。
国際線が飛び始めたANAの欧州便はロシアとウクライナの紛争で大きく航路を変更。
今回の中継地、フランクフルト空港までは14時間25分、従来よりも2時間強長いフライトです。
ドイツからさらにイタリア・リナーテ空港までは約1時間25分。日本からイタリアまでは合わせて約16時間のフライトです。
フランクフルト空港、第1ターミナルから第2ターミナルへ
フランクフルト空港の到着は第1ターミナル。ミラノ・リナーテ空港行きのAZ便は第2ターミナルからの出発。
日本出発前にターミナル間の移動は空港内電車(スカイライン)を使おうと考えていたものの、第1ターミナルで入国審査を済ませてから第2ターミナルに移動するのが良いのか、先に第2ターミナルへ移動してから手続きをすれば良いのか迷った末、すぐに第2ターミナルへ行くことにしました。
ただ、移動の通路には人影はなく自分ひとり。
サインボードの通りにスカイラインのプラットホームへ。
到着した車両に乗ること2分で、第2ターミナルに到着します。
それにしても、他に乗客はなし。
階段を降り入国審査の窓口を探してAll passennger のレーンに急ぎます。
ただ、そこに向かうのは僕一人。
人波が途切れて余裕があったのか係官はとてもフレンドリーでした。雑談を交えた入国審査を無事に終え、ドイツ入国です。
以前、フランクフルト空港の入国審査でのこと、帰りのチケットは持っているか、現金はいくら所持しているのか、クレジットカードは、ホテルのバウチャーはあるのか、全部見せろと、嫌がらせのような対応を取られたので少し警戒していたのですが、今回の係官は非常に良心的でした。
今回の入国では、コロナに関しては何のチェックもなしです。
事前に確認は、していましたが、ドイツはすでに通常の対応に戻っていました。
AZのチェックインカウンターが見つからない
第2ターミナルにたどり着いたものの、困ったのが乗り継ぎのAZ便。
出発地の羽田で発券しようとしたのですが、現地でないと出来ないと断られていた便です。
そのため、ドイツ入国後に改めてAZにチェックインする必要があります。
ボーディングゲートで発券依頼しようと思いましたが、一旦入国して外に出たため、再度ゲートに向かうには手荷物検査所を通らなくてはいけません。
ただ、手荷物検査のゲートはボーディングチケットで入場する仕組みになっていたため、ここでチェックイン・発券しなければならないのです。
しかし、AZの航空会社のカウンターが見当たりません、近くの職員にチャックイン場所を尋ねていると、後ろから「JALのお客様ですか?」と日本語が…。
そう、フランクフルト空港の第2ターミナルはJALの到着ターミナルなんです。
「いいえ、ANAなんですが…」それでも、AZのカウンターがわからないと伝えると、811~xxxのカウンターでチェックイン可能だと教えてくれました。
後で、知ったのですがAZは2021年10月に廃業していて、航空路線と機体の運行を国営のITAエアウェイズが引き継いでいて、チェックインカウンターはアリタリア航空はなくITAエアウェイズのカウンターでした。
相変わらずのラフさに思わず苦笑
その後、無事にチェックインを終えて、AZの搭乗口へ到着したのが出発時間19:40の15分前。
もう登場が始まっているなと思ったものの、ゲート前には搭乗待ちの列ができていました。
心配になってチケットを確認すると、そこにはボーディングタイムが出発1時間前の刻印がありました。
搭乗ゲートはE21。19:40の出発時間を過ぎても搭乗案内は無し。
BOADING 18:40って何?
出発の1時間前?
「はあ~、ありえない」思わず苦笑してしまいました。結局、出発は15分ほど遅れ、搭乗はその5分前。 一時間前って何なんだ?
機体のペイントは特徴的なトリコローレカラーからITAエアウエイズのものに変わっていました。
ミラノ駅周辺の治安は悪化?
飛行機はトラブルもなくミラノ・リナーテ空港に22時近くに到着。
当初は、バスでミラノ市街に入ろうと考えていましたが、フランクフルトで友人から受け取ったメールには中央駅近くは今、治安がとても悪くなっているので、夜は外出しないほうがいいとありました。
バスは中央駅が終点なのと、夜も遅かったので、万一の場合を考えてタクシーでホテルまで直行しました。
リナーテ空港から中央駅近くのホテルまでは約30分。マルペンサ空港でなくリナーテ空港を選んで正解でした。 マルペンサから終点の中央駅まではタクシーで1時間ほどかかりますから。
空港からミラノ中心部への移動の仕方
・ミラノマルペンサ空港からミラノへ
リナーテ空港はミラノの中心地から約50Km離れた場所にあります。中心部への移動の方法は、タクシー(中心部まで約60分)、エアポートバス(ミラノ中央駅まで60分)、電車(中央駅まで40分から80分)、レンタカーを利用する方法があります。
・ミラノリナーテ空港からミラノへ
リナーテ空港はミラノの中心地から約7Km離れた場所にあります。中心部への移動の方法は、タクシー(中心部まで約20分強)、エアポートバス(ミラノ中央駅まで25分)、市バス(サン・バビラM1行き)、レンタカーを利用する方法があります。
中央駅近辺のホテルは何度も利用していて治安もそれほど悪いとは思っていなかったのですが、後から聞いた現地の友人の話では、コロナ禍以降、駅周辺の治安が悪化、強盗事件も頻発しているとのことでした。
Bresciaにある会社で打ち合わせ
そもそも今回のイタリア行きはある事情からBrescia(ブレシア)にある会社での打ち合わせのためでした。ただの観光目的ではないのです。
本来ならば2日ほど打ち合わせ時間を取り、すぐに帰国するスケジュールでよかったのですが、航空会社の最安値のスケジュールはその日程に4日プラスした4/4~4/9の日程でした。
残りの日程を過ごすのに決めたのが世界遺産の街、ベローナでの休日。
そう、ロミオとジュリエットの街でのんびりと静かに過ごそうと決めていました。
海外航空運賃は出国、帰国日で料金が異なる
海外便の航空う運賃は出発日と帰国日で大きく異なります。
同じ目的地でもこの日程の違いで無視できないほどの価格差が発生します。
日程の調整ができない場合は仕方がないですが、航空運賃と現地での滞在費(ホテル代、食事代、その他)のトータルで比較するべきですね。
同じ出発地、目的地でも日程が違うと料金が変わります。
出典:ANAホームページより
ヴェローナはイースターの祝日で大にぎわい
ブレシアの会社での打ち合わせを終え、ベローナに移動したのはイタリア到着後4日目の4月7日。このとき、4月9日がイースターの祝日であることをすっかり忘れていました。
ベローナの街は、見たことのないような人出。観光客のみなさんは、その祝日を挟んで前後3連休にしていたようです。欧州中からツーリストが集まって来ていました。
人々は全くマスクなどしていません。日本でまだマスク着用が日常の景色であるのと比べると驚きです。 「コロナはまだ収束したわけではないのに・・」
ただここで一人だけマスクをつける勇気はありません。 郷に行っては郷に従え、か!覚悟を決めました。
渡航前には必ず現地の状況を確認しよう
ヴェローナの街でゆっくりと過ごそうかと考えていましたが、この人混みでは外を歩く気にもなれず、しばらくホテルの部屋で時間を潰していました。
アレーナの入り口やジュリエットの庭の入口も長蛇の列。
シニューリー広場の横にあるランベルティの塔にも登ろうかと考えていましたが、どこもかしこも人だらけで断念しました。
ヴェローナの見どころ
・アレーナ
アレーナ・デ・ベローナはローマ時代の円形競技場。ローマにあるコロッセオよりも小ぶりですが、毎年6月にアレーナでオペラが開催されことで有名。
・ジュリエットの家
シェイクスピアの戯曲、ロミオとジュリエットのモデルになった石ずくりの家。有名なバルコニーは戯曲が作られた後に加えられた。
・愛の井戸
ここは、ジュリエットの家から歩いてエルベ広場の突き当たりを左方向に行ったVicoletto cieco pozzo San Marcoという路地裏にあります。
少しわかりずらいのですが、路地の入り口には 「Pazzo dell Amore」の看板が見えたらすぐに見つけることができます。
この井戸のいわれは悲劇の愛の物語によるものだとされています。さすがロミオとジュリエットの街、ベローナですね。
現在は井戸の入り口には蓋がつけられていますが、かつてはここにコインを投げ入れる人が絶えなかったとか。
・広場
ヴェローナには3つの広場がありそれぞれ特徴があります。
ブラ広場:旧市街で最も賑わいのある場所の一つ、アレーナがすぐ前にあり観光客は広場に面した屋外のテラスでティータイムを過ごしたり、食事を楽むことができます。
シニューリー広場:ルネッサンス時代の建物に囲まれた落ち着いた雰囲気の広場。ダンテの像が建つ歴史的広場
エルベ広場:ベローナ旧市街の中心に位置する広場。中央には常時マーケットが開かれていて周りにはレストランやカフェのテーブルが並びます。
そういえば、コロナのパンデミック宣言直前に尋ねたフィレンツェもカーニバルの真っ最中で人だらけでした。
事前に調べておくべきですね(反省)。
ジェット・ラグ(時差ボケ)に注意
その日も、久々の海外渡航のせいか時差ボケがひどいままでした。
加齢の影響のせいか、以前は2、3日でリカバリーできていた時差ボケが4日後も続いています。
ホテルの部屋で仮眠をとって少し気分が落ち着きましたが、今度は空腹感が襲ってきました。
事前にネットで美味しそうな店を探してはいましたが、この人出では、とてもゆっくり食事をすることは無理だろうと考え、とりあえず何かないかとホテルを出ました。
案の定、ホテルの外も人だらけ、それでも人混みを抜けて食事にありつけそうな店を探します。
まるで、ドラマ ”孤独のグルメ”そのものです。 「腹が減った!よし、店を探そう!!」。
ピザで空腹を満たす
あまり混んでいなくて美味しい店はないかとヴェローナの街を散策。
見つけたのが、ホテルの近くで見つけたピザの店。
ネットで検索してみるとなかなか評判のピッゼリアのようです。
お店の陽気なお兄さんオススメのマルゲリータピザをテイクアウト(英語ではTake away)してホテルに戻りました。
これがベローナ初日のディナー。
ちょっと寂しいメニューでしたが、美味でした。
Pizzeria Da Vincenzoの基本情報
所在地: Piazza Nogara, 3, 37121 Verona VR, イタリア
電 話:+390459615105
U R L: https://pizzeriadavincenzo.com
ベローナの街を散策
ヴェローナの2日目は土曜日、昨日にも増して人の賑わいが増えてきました。
もともと、ヴェローナはとても小さな街。街中を徒歩で散策しようと考えていたので、この日はアレーナからジュリエットの家を抜けてエルベ川沿いにウオーキング。
これが、その日の散策コース
散策時間:2時間
散策距離:7.3Km
エルベ川沿の遊歩道は思っていた通り人も少なく、中世を思わせるカステルベッキオ橋までゆったりと散策できました。
最後の晩はイタリアンのフルコース
2日目の朝は、ホテルの少し遅めの朝食の後、ある計画のため昼食は抜くことにしました。
その計画とは、夕食にきちんとしたレストランで晩餐をすること。
あらかじめ目星をつけていたレストランはアレーナに近い路地を入ったところにある、La Greglila。
ただ、今回は一人旅、普通のレストランに入るのは抵抗があったので、予約はせずに、夕方のオープン時間を待って訪問することにしました。
6時30分の夕方からの開店時間と同時に店入り、一人だということを告げましたが、快くテーブルに案内されました。
イタリアでは、夕食は20時以降が定番。6時30分であれば予約なしでもOKかとの目論みどおりです。
食事は、アペタイザー、プリモピアット、セコンドピアット、ドルチェ、締めのエスプレッソまで、フルコースを注文。
満足な晩餐とすることができました。
La Greglilaの基本情報
所在地: Via Leoncino, 29, 37121 Verona VR, イタリア
電 話:+390458031212
U R L: https://www.lagrigliaverona.it
フランクフルト経由で日本へ
帰国の日はベローナからフランクフルトを経由して日本へ向かう便。
ホテルをアーリーチェックアウトしたのが朝の4時。フロントで前の晩にタクシーを予約しようとしましたが、24時間いつでも、タクシーは来るとのことだったのでチェクアウトの際に依頼。
なるほど10分もしないうちにタクシーが到着。
少し時間に余裕をもって空港に到着しました。
朝の6時30分のベローナ空港発のドロミテ航空一番機。
フランクフルト空港 ルフトハンザセネターラウンジ
長時間のトランジット時間を過ごすには各航空会社のラウンジ利用が一番のおすすめ。
フランクフルト空港にはルフトハンザのラウンジとしてビジネスラウンジとセネターラウンジがあります。
セネターラウンジという名称はあまり知られていませんがビジネスラウンジとファーストラウンジの間くらいのランクです。
場 所:フランクフルト空港第1ターミナルBコンコース3階 ANA搭乗ゲート近く
営業時間:月-日 07:00-21:30
ビジネスクラス利用者は利用できないのですが、スターアライアンスの上級メンバー(ゴールド)であれば利用は可能です。
ラウンジからの窓側席からは、滑走路と駐機中の飛行機が眺められます。
飲み物はもちろん、ちょっした食事もここで摂ることができます。
羽田の入国制限が解除になっていた
羽田空港に到着して、事前に準備していたワクチン接種証明書をスマートフォンのアプリをセットして入国審査へ。
顔認証のシステムゲートを通り過ぎると、預け入れ荷物のコンベアへ。
入国時のワクチン検査はどこだろうかと考えているといつの間にか税関を通過して出口へ。
あれ、検査はないの? 帰国日の4月11日はコロナの入国検査はなかったけど、どうしてだろうか。
顔認証システム
日本への入国審査は自動で顔認証システムによって行われています。
いくつかの条件がありますが、ほとんどの日本国籍の方はこのシステムで入国できます。
詳しくは下記のリンクを参照してください。
顔認証ゲート → Smart Entry 顔認証による日本人の帰国手続のご案内
まとめ
久しぶりの海外渡航。
慣れない感覚もありましたが、特に問題もなく無事に旅を終えることができました。
この記事を書いている5月の中旬にはどうにか旅行需要がコロナのパンデミック前の水準まで戻ったと新聞に書かれていました。
人は、当たり前なことが未来永劫続いていくと考えがちです。
今回のコロナはそんな考えを根本的に変えてしまったように思います。
僕自身、会社勤めからリタイアしたのが2020年の8月、まさにリタイアしたのがコロナパンデミックの真っ只中。
自由な時間が出来、いつでも好きな時間に旅行もできると期待していたのですが、この3年弱の期間はずっとステイホームでした。
無駄な外出をしなかった分、浪費を防げたようにも思いますが、現役の方々の苦労は想像以上だったように思います。
気のせいか航空会社のスタッフもやっと飛べる日がやってきたと安堵の気持ちが表情に出ていたように思います。
失って初めて、普通にあったことの大切さに気づく。
まさに、この3年間はそんな気づきを与えてくれた期間ではないかと、飛行機で長い時間を過ごしながら考えました。
そして今なお、継続しているウクライナの問題。
1日も早い解決を願っています。