【トスカーナ・モンタルチーノとピエンツァ】オルチャ渓谷の村を訪ねる

 トスカーナのオルチャ渓谷。

 一度は訪ねてみたいと思っていた憧れの地である。

 2020年の2月、念願が叶い、フィレンツェからタクシーをチャーターして訪問した。
 (この後すぐに新型コロナのパンデミックになったため、今のところこれが最後の海外旅行になった)

 この記事では約9時間のショートトリップをハイヤーのチャーター方法(最後の項)も含めて紹介する。

文化遺産


 イタリア人が300年の歳月をかけて土壌改良で作り上げたがオルチャ渓谷。

 ここはユネスコの文化遺産として2004年に世界遺産に登録されたトスカーナ州南部の土地。

 アミアータ山からキアーナの谷に向かって緩やかに傾斜する丘陵地だ。


 注目すべきはここが自然遺産としてでなく文化遺産として登録されているということ。


 この土地は粘土質の土壌で耕作に適していなかったのを300年という途方もない時間をかけて世界でも美しい肥沃な土地へと改良した驚くべき場所。

 イギリスの田園地帯やフランスのプロバンスも美しい場所として有名だが、ここオルチャ渓谷はそれ以上に心癒される風景を見せている。

 可能ならばこの場所に宿泊して夕方のそして朝の景色を堪能したいところだったが、スケジュールが合わずフィレンツエからの日帰りの旅になった。

 

                         

生憎の日曜日、ハイヤーとドライバーを手配


 トスカーナを回ろうと予定したのが日曜日。

 当初考えていた列車でシエナまで行きバス(Tienne社が運営)でサン・クリーリコ・ドルチャを経由してピエンツァへと考えてたが、日曜日はバスは運休。

 日曜日でも列車は動いているのでシエナまで行って現地でタクシーをとも思ったが、シーズンオフでタクシーがつかまらなかったらと考え断念した。

 

 仕方なく日本から事前に現地でハイヤーと英語のできるイタリア人ドライバーを手配。
 (この記事の最後に手配先を紹介しているので参考にしてほしい)

 朝9:00にホテルを出発して、夕方18:00戻りの9時間の契約。

 列車とバスに比べると割高だが、時間の節約になるのでよしとした。



 予定通り9:00にハイヤーがホテルに到着。

 ドライバーはちょっと年配の陽気なイタリアーノ。

 車を走らせるなりずっと喋りっ放し、一時間以上一方的にイタリアの歴史を語ってくれるのだがこちらが質問する隙を与えてくれない。


 僕も、途中までは「I see」,「Right」,「Really?」と相づちを打ちながら聞いていたが途中からは面倒になったので聞き流すことに。

 そうこうするうちに車はモンタルチーノに到着。

 ここまで約2時間弱。

モンタルチーノの入口にある城壁からの風景

 

モンタルチーノで郷土料理「ピチ」を食す


 ここは 高級ワイン、ブルネッロの産地として有名な土地。


 ワイン生産者が200以上いて銘柄はブルネロ・デイ・モンタルチーノとして販売されている。

 街の入り口にある巨大要塞の内部には1381年にできたエノテカ(ワインの販売店)があり、その店の中から塔に登ることもできると事前に調べてきたがシーズンオフで残念ながらクローズド。


 そしてもう一つモンタルチーノで楽しみにしていたのがトスカーナの郷土料理。

 そろそろ正午に近くなってきたので地元でも人気の店 Grappolo blue を探しに。


 先ほどの要塞を過ぎて数分ほど行った丘陵地を見渡すことのできる坂道を少し下がったところにその店を見つけた。

 店に入った当初は僕らが最初の客で空席が目立っていたがしばらくすると客席は満席に。

 予約しておいてよかった。

 それにしてもイタリアに来てどのお店も予約した旨を伝えても名簿の確認をする様子がない、記憶している様にも思えないがきっと客を信用してのことだろうか。

 予約をしていなくても、予約したと言えば通ってしまいそうに思えるが、決して悪用しないで欲しい。

 ルールとマナーは守ろう。

 

 料理のお目当ては小麦と水だけで作った素朴なロングパスタ 「ピチ」。

 これが食べたくてオルチャ渓谷まで来たと行ってもいいくらい食べてみたかった郷土料理。

トマトのピチ

 作り方は小麦を水だけで練り生地ができたら細長く切り、手で転がしながら麺状に、この麺に次々に生地を切って麺状にしたものを繋いで一本のロングパスタに仕上げる。

 材料は簡単だがとても手間がかかりそうだ。

 ピチは太さといい歯ごたえといい、まるで日本のうどん。

 素朴で深い味わい、日本人の味覚にあっているようだ。

ポルチーニのピチ

 この店はイタリア語のメニューのみだが、事前に調べておいたピチとブルスケッタ、トスカーナ名物の内臓料理の「トリッパ」そして外せないブルネロ・デイ・モンタルチーノを注文。

 

フィレンツエに来たら肉料理は外せない
ここでもまた、トリッパは〇〇さんのリクエスト。
フィレンツエに来てからずっとトリッパを頼んでいる。
フィレンツエの街に戻ってから夕食に尋ねた クワトロレオーニ でもトリッパをオーダーしたが、やはりトリッパは Trattoria I Due G のものが一番美味しかったそうだ。

僕はあまり内臓料理が得意でなかったので、タリアータやビステカを満喫していました。
やはり、フィレンツエに来たら、ビステカでしょう。
今までいくつかの店で試してみましたが、僕のオススメはタリアータならTrattoria I Due G 、ビステカならクワトロレオーニです。
内臓料理大好きの〇〇さんも流石に、クワトロレオーニのビステカは口に合ったとみえて、巨大な赤肉を満喫していました。もちろん、トリッパもしっかり食べていましたよ。

 


ブルネロ・ディ・モンタルチーノ

それぞれが素朴で味わい深い、ワインとともに充実した昼食を頂くことができた。

Grappolo Blu入口 脇の階段からはトスカーナの広大な風景が見える。

オルチャ渓谷よりも早く世界遺産に認定された村、ピエンツァ

 

 モンタルチーノから移動して約30分でビエンツアに到着。

 途中、ドライバーがここで写真を撮れと車を停めたのが、サン・クイーリコ・ドルチャ。

 そういえば雑誌か何かで見覚えのある風景だ。

車はサン・クイーリコ・ドルチャで小休止。ドライバーオススメの撮影ポイント。

ピエンツァはオルチャ渓谷の中心的な村

 

 オルチャ渓谷が世界遺産に認定される前に単独の村として1996年に「ピエンツァ市街の歴史地区」として世界遺産に登録されている。


ピエンツァの入口

 人口2000人ほどの小さな村だが、その歴史は古く15世紀にこの村出身のピウス2世がローマ法王に就任したのを機会に村にいくつもの建造物が作られ、それらが現在の村を形作っているのだという。

 この村は小高い丘の上にあるためオルチャ渓谷の雄大な眺めを見るには絶好の場所。

 特に大聖堂の裏手にあるカステッロ通りからの景色は一見の価値がある。


大聖堂の裏手にあるカステッロ通りからの景色

 観光のベストシーズンは4月から5月のようだが、2月の末でもかろうじて緑があり景色を堪能することができた。

 ただ残念だったのがチーズを買ってこなかったこと。

 旧市街の入口にあるムレッロ門からチーリオ門をつなぐ300mほどのロッセリーノ通りにははいくつかの店が並び特産のペコリーノチーズなどを扱うチーズショップが数件あった。


 

 日本でペコリーノチーズはなかなかのお値段。

 チーズ好きの僕としてはどうしてあの時に買わなかったのかと後悔しきり。

 シーズンオフにも関わらずチーズショップは結構な賑わいだったが、他の観光客の喧騒に負けて買いそびれてしまったのだ。

次があれば


 今回はトスカーナの自然に触れて見たいというのが第一の目的だったが、幻想的な風景が見たいという思い入れが強すぎたせいか正直、大きな”感動”を感じることはなかった。


 観光のシーズンから外れた2月であったため広大な土地を埋め尽くすグリーンが少し足りなかったこと。

 そして短時間での日帰り旅だったということが原因だったのかもしれない。

 今回は体験できなかったが、訪問地の雰囲気を存分に味わうにはそこに滞在(宿泊)することが理想だと思う。

 しかし、今回の訪問で広大な自然に触れられたのは何よりの収穫だった。



 もしも次があればアグリツーリズモで田舎料理の作り方を体験したり早朝や夕暮れの景色を堪能、できればワイナリーにも行ってみたい。

 イタリアに対する興味が更に膨らんだショートトリップだった。

 ここに興味のある方は、ぜひこの小さな村に宿泊を前提に訪問してみてはどうだろうか。

ハイヤーの手配方法

今回利用したハイヤーとドライバーの手配はフィレンツエ在住の中山久美子さんが主催するトスカーナ自由自在から手配をお願いした。
いくつかコースがありその中から選択するのだが、ハイヤーの手配も受け付けてくれる。H Pから要望を伝えメールでのやりとり後、日本の指定銀行へ費用を振り込めだ手続き完了だ。

トスカーナ自由自在 https://toscanajiyujizai.com


訪問年月 2020年2月

Taverna del Grappolo Bluの基本情報

住 所:Scale di Via Moglio, 1, 53024 Montalcino SI,イタリア
URL  http://www.grappoloblu.it